ねこ崎のごろごろ日記ビビ

●キャットシッターねこごころ　スタッフねこ崎の、愛と文字いっぱいのブログ●

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2024/05/05 (Sun)

ビビ

吉祥寺にあるキッチン　ククゥはご存知でしょうか。

中道通りを三鷹方面へ進み、一圓ラーメンの角を右折してすぐ。雑貨店の脇の細い急な階段を上がったところにあります。かわいいクマの看板が目印です。
カウンター席のみのこじんまりとしたお店。

入り口から一歩入ると、圧巻の壁画に迎えられます。少し不思議な、まるで深い森の中にいるような気分にさせてくれるお店です。
置いてある小物もとってもかわいいし、ほっとする雰囲気でした。

注文をし終わり、さてと店内を見回したところ絵本が置いてあるのが目に付きました。
そのうちの一冊、「ビビ」についてご紹介したいと思います。

あらすじ：
作者であるたがわいちろう氏が出会った、野良猫のビビ。
少しずつ少しずつ距離が縮まってきてお互いを認め合う存在になれたが、他の猫の登場によってビビが作者の元へなかなかやってこれなくなってしまう。そこで作者はある決意をするが・・・。

猫と暮らすスタイルは様々あると思います。
自由に野良猫として暮らす猫と、ご飯をあげたり遊んだりして暮らすパターン。
家の中と外とを半々に、自由に出入りしてもらって暮らすパターン。
完全に室内のみで生活してもらうパターン。

我が家は一番最後の、室内のみのパターンです。
夏涼しく、冬暖かい室内。
決まった時間にご飯が出されて、寝るときも気が向いたら人間と一緒に布団で寝て、気分じゃない時はタンスの上に上って寝る。甘えたい時は膝の上でゴロゴロするし、一人になりたいときは物陰に隠れてじっと瞑想。

ふと思いついて「幸せ？不自由なく生活してる？」と訊ねると、目を細めながら「大丈夫ニャ」と答えてくれる　　　　　　　　ような気がしています。
でもたまに窓の外、マンションの塀を歩く野良猫をじっと見つめる様子を見ると、「外に出たいのかなー・・・」という思いもしています。
そんな、少し切ない気分になったとき！
そんなときがこの本の「読み時」だと思います。

猫はどこまでソレを望んでいるか？
どこからが人間の勝手な思い込みなのか？
人と人、言葉やボディランゲージを駆使しても言いたいことが全て伝わるわけではありません。
誤解や行き違いは当たり前のように存在するし、だからこそコミュニケーションに関する研究というのは昔から現在に至るまで盛んに行なわれてきているのだと思います。

猫は言葉を使っての会話ができない相手なので、当然100％の意思の疎通は望めません。
我が家でもクロロくんが鳴いているので。遊んでほしいのかと思いおもちゃを取り出すと実は単にトイレに行きたかっただけだったり、甘えたそうに近付いてくるので待ち構えていると、手が届かないギリギリの距離で座り込んでしまったり。
ほかにもよかれと思ってしたことが、逆に迷惑だと思われていることもあるかもしれません。

この本を読んでそういったことを考えさせられました。
正確に言うと、この本を読んでからしばらくして、です。

何故なら読んだその場ではとてもそんなことを考える余裕がなかったからです。
読んでいるうちに切なくて切なくてたまらなくなって、ついに落涙。
ランチタイムのカウンター席という状況も、注文した品が来るのを待っているというタイミングも、全て頭の中から出て行ってしまうくらい夢中になってしまいました。

こっそり涙を拭く姿が目に入ったのでしょうか。
優しそうな奥様が、「その本切ないですよねー！」と声を掛けて下さいました。
なんでもよくお店にいらっしゃるお客さんが絵本のイラスト担当で、その方が置いていかれたそうです。
大人向けのほろ苦いビターな味わいの絵本、オススメです。

ちなみにお店のランチもとってもおいしかったです。
シチューランチでパンもサラダもシチューもたちまち胃袋の中に消えました。
泣いた後は食べることで体力回復！です。

猫好き　本好き　シチュー好き、そしてかわいいお店好きのみなさま、キッチンククゥオススメでございます。

2010/01/11 (Mon) 読書感想文 Trackback() Comment(0)